受け持ち患者さま

看護学生にとって実習で受け持たせていただく患者さまは、自分の将来をも左右する大事な存在です。一人の患者さまと2週間とか3週間とかお付き合いさせていただく中で、たくさん悩んで、時には泣いたり喜んだりしながらたくさんのことを学びます。そんな受け持ち患者さまを決めるときはどきどきものです。決め方は先生があらかじめ決めてしまったり、学生同士話し合って決めることもあります。今回の老年看護実習では、受け持ち患者さま5人をピックアップしてもらい、5人の学生で話し合って決めました。その中で寝たきりでセルフケアの援助が必要なひとは3人、あとの2人はADLがほぼ自立している方でした。学生としてはケアをたくさん体験したいので、3人の人に希望が集中しました。しかたなくじゃんけんをして決めました。わたしは後者の2人のうちでも疾患の軽いAさんを受け持つことになりました。案の定、ケアはほとんどなく一日中お話をするだけでした。ケアがしたいということを先生に告げると、「受け持ち患者さんの看護がちゃんとできないのにケアばかりにこだわるのはおかしい」と言われました。もっともだと思いました。わたしは指導として退院後の生活についてパンフレットをつくったり、家族の方にお話をしたり、できることをしました。自分なりに未熟ではあるけれどベストをつくしたつもりです。Aさんは実習の途中で退院されました。これでケアのできる患者さまを受け持たせてもらえる!!と思っていたら、「いまさら2人目は大変でしょう。他の子の患者さん一緒に持たせてもらいなさい」という先生の言葉。先生も看る患者さまが増えると大変なのかな〜と思い、素直に従いました。残りの実習期間は他の子の患者さまのケアに参加させてもらいました。でも、他の子は自分で計画をたてて一生懸命やっています。だからケアに参加させてもらうといっても見ていることが多く、ケアの技術の経験はあまりできませんでした。最後の日、技術のチェック表を見て先生が言いました。「技術の経験が少なすぎない?もっと重症の患者さん受け持たせてもらわないかんかったわ。なんで受け持たせてもらわなかったの?」わたしだって受け持ちたかったですよ。でも、せっかくAさんは受け持たせていただけたのに、そんなことをいったらAさんに悪いじゃないですか。2人目持ちたいって言っても先生受け持たせてくれなかったじゃないですか。そんなことは先生に言えず・・・。看護師は患者さまをえり好みなんてできません。それは学生だって同じだと思います。わたしはどうしたらよかったんでしょう?実習最終日にして落ち込むうさぴょうでした。